木造住宅は強いのか?鉄骨造・コンクリート造と比較して求める強さを解説

木造?鉄骨造?鉄筋コンクリート造?自分の家はどんな家がいいのか、家づくりのはじめに気になる方も多いと思います。
本記事では、木造住宅は火事に強いのか?地震に強いのか?長持ちするのか?という視点で、木造住宅と鉄骨造、コンクリート造と比較して、強い住宅とは何なのか詳しく解説しています。

是非最後までご覧ください。強さが分かると、自分に合った家づくりのカタチが見えてきます。

木造住宅とは?木造以外の住宅とは?

木造住宅とはどんな住宅なのか、それ以外の住宅は何があるのか見てみましょう。

骨組みに木材を用いてつくる建物の構造
・柱梁など線で構成される工法:軸組工法
・パネル(面)で構成される工法:ツーバイ工法
他にも金物工法やSE工法など、様々な工法があります。

骨組みに鉄骨を用いてつくる建物の構造

身近な鉄骨造:ショッピングセンターなどの店舗や工場
鉄骨系の大手ハウスメーカーも存在しています。

骨組みに鉄筋とコンクリートを用いてつくる建物の構造

身近な鉄筋コンクリート造:マンション、役所、病院などがあります。

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の特徴や性能を比較

  • 火に対して(耐火性)
  • 強さ(耐震性)
  • 長持ち(耐久性)

木造住宅は暖かいのか?木造・鉄骨造・コンクート造、どれが自分に合っているのか知りたい、暖かさについて気になる方は、是非こちらの記事もご覧ください。

木造住宅は暖かいのか?鉄骨・コンクリートと比較して暖かさのポイントを解説

木造?鉄骨造?鉄筋コンクリート造?自分の家はどんな家がいいのか、家づくりのはじめに気になる方も多いと思います。本記事では木造住宅は暖かいのか?という視点で、木…

(1)火に対して(耐火性)

単純に燃えにくさで判断した場合は、イメージ通り燃えにくい順に【鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造】となります。
しかし、木材は実は火に耐える特徴があります。

木材の特徴:太い木材であれば燃え始めると黒く炭になって中心部まで燃えるのは時間がかかる特徴があります。
実際に「燃えしろ設計」といって、燃えることを想定して通常よりも柱梁を太くしておいて、表面が燃えても建物が崩れ落ちないように設計することもできたりします。

鉄の特徴:ある温度に達すると熱により折れ曲がる特徴があります。

また、法律上は火に耐えるために、防火構造、準耐火構造、耐火構造などといった作り方を定めています。素材自体の欠点を補うことでつくることが可能になります。

例えば
鉄筋コンクリート造の場合は、そのもの自体が耐火構造となる場合が多いです。
鉄骨造は不燃材という燃えない材料で覆うことで準耐火構造や耐火構造とすることができます。
・木造の場合は、他の構造に比べて比較的安価に防火構造や省令準耐火構造とすることができるというのも、木造の特徴です。

他にも火に対する強さがわかる指標で、火災保険があります。住宅の場合は、省令準耐火構造とすれば、火災保険が半額程度になるメリットがあります。保険上、木造住宅は非耐火構造ですが、省令準耐火構造にすれば鉄骨造や鉄筋コンクリート造と同じ耐火性能がある建物として評価されていることになります。

このように実は木造でも、火に強く、お財布にもやさしい家づくりができることが分かります。

(2)強さ(耐震性)

建物の強さ弱さでイメージするのは、やはり地震で壊れなてしまわないか?ではないでしょうか?自分が住んでいる周りの建物を思い浮かべてみてください、役所、病院、避難所(学校)、消防署など地震の時に壊れては困る建物の多くは、鉄筋コンクリート造で出来ていることがほとんどです。そうです、壊れにくさも壊れにくい順に【鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造】のイメージかと思います。しかし日本は地震国です。過去の地震の教訓を生かして、構造の素材や用途にかかわらず、地震に強い建物を建てる方法を作り出してきました。

大きな地震が起きるたびに、法律の改正があり構造性能の基準も整備がされており、昭和53年に発生した宮城県沖地震をふまえて、昭和56年に法律改正された建築基準法が、特に旧耐震基準新耐震基準の大きな分かれ目になるとされています。という事で、構造がどんな種類であるかというより、どの基準で建てられているかが強さに影響していると言えます。
ちょっと話を変えて、木造住宅の地震に弱いイメージについて考えてみます。前述したように日本では、圧倒的に木造住宅が多いわけで、旧耐震基準で建てられた数も相当数あり、大地震が発生すると、木造住宅の倒壊事例を目にすることも多くなり、木造住宅=地震に弱いイメージが定着してしまっていると思います。

話を強さの基準に戻します。現在は新耐震基準が進化をして、さらに、構造性能の可視化が進み、耐震等級という地震による力に対して倒壊、崩壊しない程度を等級1~3で定めています。(ちなみに等級3は等級1の1.5倍、等級2は等級1の1.25倍の耐震強度があると定義しています。)木造でも鉄骨造でも、鉄筋コンクリート造でも構造計算方法や施工方法が違えど、耐震等級1~3の設定は同じです。地震に対する強さを求めるのであれば、構造の種類を考えるよりも、耐震等級をより高い等級でオーダーすればよいことになります。つまり地震に対する強さは耐震等級です。

(3)長持ち(耐久性)

住むための家、資産として所有する家、いずれにせよすぐに朽ちてしまったり、使えなくなっては困ります。最近では人口減少とは逆に、空き家の数はすごいスピードで増えていることも社会問題のひとつです。自分が所有した家についても、他人事ではなく、将来子供たちのための住まいや、社会的資産として使える状態が、維持できることがさらに求められてくると思います。そこで、住宅としてどれほど長持ちするのか、調べてみました。

資産として考えた場合は、税務上の住宅用の減価償却資産の耐用年数が、ひとつの指標となります。
・木造の場合:耐用年数22年
・鉄骨造の場合:耐用年数37年
・鉄筋コンクリート造の場合:耐用年数47年
耐用年数においても、長持ちする順に【鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造】という結果になりました。

しかし本当にそうでしょうか?視点を変えてみてみましょう。皆さんご存じの京都法隆寺の五重塔は、世界最古の木造建築物で、火災により再建された記録もあるようですが、実に1300年以上もの時を経ています。なぜだか分かりますか?もちろん法隆寺は使っている材料や、宮大工の技術などによるところも大きいとは思うのですが、基本は木材の欠点を分かっていて、それを補ったり、修繕しているからです。

木材の欠点は湿気とシロアリです。その欠点を補うのは乾燥状態が保てる作り方をする事です。また修繕についても、鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも比較的安価に、自由度が高く修繕することが可能です。実際にリフォームやリノベーションにおいて、柱が腐っていても取り替えることは昔から行われてきました。

税務上の耐用年数は鉄筋コンクリートに軍配が上がります。しかし、実際は長持ちさせるにはどの材料でも修繕することが重要で、修繕が適切に行われれば一番木材が長持ちする素材であり、さらに修繕自体も他の構造材料に比べ容易かつ安価であることから、木造は実は長持ちする優れた建て方であることが分かります。

木造住宅は強くて長持ち

木造住宅のイメージは変わりましたか?家づくりの求めている強さは何なのか分かりましたか?
実は木造で、火にも耐え、地震にも強く、長持ちする家づくりができるのです。家づくりをするなら、やっぱり木造がオススメです。

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造を知っているからできる、弊社の木造注文住宅の実績は、下記のページで詳しく掲載しています。こちらもあわせてご覧ください。

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